ディディエ・デシャン監督率いるフランス代表チームが、今夏のユーロ2020の優勝最有力候補として、大々的に取り上げられていたのは、6年間の活動休止期間を経て、見事に返り咲いたカリム・ベンゼマが、代表チームに加わる以前からのことでした。
フランス代表チーム、レ・ブルーは、すでに世界サッカーにおいて、最も優秀な第一線の選手を取り揃えていました。結局のところ、2018年ワールドカップでフランス代表を優勝に導いたのは、これら第一線の選手たちでしたからね。
他方で、カリム・ベンゼマは今夏、フランス代表チームを次の段階へ押し上げる可能性を大いに持っています。
レアル・マドリード出身のアタッカーである彼は、33歳の年齢からして引退間近か?と考える人もいるかもしれませんが、現在プレイヤー人生で最も良いコンディションにあります。フィールド上で今、最も有力なのです。彼はフランス代表のオフェンスを真の頂点へと導くでしょう。
しかしながら、ユーロ2020においてフランスを取り巻く不安要素もあり、それは具体的にオフェンスに関して言えることです。
ベンゼマは土壇場で急遽チームに投入されたため、まだ2回の練習にしか参加しておらず、デシャン監督のやり方や、2015年以降、大多数が入れ替わっているチームメイトに馴染んでいません。
しかし原則として、フランスの第一線は無敵で、彼らはベンゼマが優勝に向けてプレーすることに最も焦点を当てています。
レアル・マドリードでの今シーズンの彼の活躍からも分かるように、ゴール前で先頭に立ってプレーするだけでなく、それ以上に多くの能力を持っています。ベンゼマよりも完璧なストライカーであると言えるのは、ハリー・ケインとベンゼマ自身だけでしょう。
ベンゼマの周りで自由にプレーできるのは、おそらくアントワーヌ・グリーズマンくらいで、彼は適宜さまよってプレーします。バルセロナのフォワードである彼が、このポジションにはぴったりですね。
グリーズマンが33歳という致命的な年齢でアトレティコ・マドリード在籍中に、ディエゴ・シメオネ監督が彼をこのように起用していました。
また、22歳のウィンガーであるキリアン・エムバペもおり、彼は次世代の最優秀選手および今年のバロンドール受賞候補者として幅広く知られています。
チャンピオンリーグのパリ・サンジェルマンでの今シーズンの見事なプレーが評価され、彼はすでに世界で最も優秀な選手であるともいえるでしょう。
エムバペがフランスのユーロ2020優勝に貢献することができれば、彼は今年のバロンドール受賞は間違いなしですね。
デシャン監督が妥協することになるのも必然的ですが、彼のチームの3人のフロントがお互いに補てんしあうだろう、という見解には理由があります。
とりわけ、ベンゼマは独創的なセンターとして活躍し、グリーズマンがフィールドの開いている空間を流し込み、そしてエムバペがまっすぐな押しの強さで活躍するでしょう。
バルセロナのMSN活躍の時代以来、サッカー界にこれほどの最強な3人のアタッカーが出現したのは初めてのことです。
フランスチームの選手が、ピッチの真ん中あたりに集まり過ぎることを防ぐためには、デシャン監督は、グリーズマンとエムバペをサイドへ広がるように促し、ディフェンダー陣に幅を持たせなければいけません。
どちらの選手もこれをクラブでのプレーでも経験したことがあるため、彼らにとってこれは問題のないことでしょう。今夏、フランスは適切な隊形とアプローチで無敵となるかもしれません。
国際サッカーには、周期的な規則性があります。2008年から2012年の間の4年間はスペインがサッカー界を征し、その後ドイツが2014年からの数年間スペインに取って代わりました。
その明らかな強さにもかかわらず、デシャン監督にはチームの活力を保つという責任があり、ベンゼマの招集は、アタッキングサードにおける選択肢を増やし、その責任を全うするのに役立つかもしれません。
サッカーはゴールを決めるということ以上に奥深いものですが、現在の世界チャンピオンチームの勢いこそが、彼らをユーロ2020において無敵にする要因なのかもしれません。